前回の「初めにおさえておきたい音楽理論基礎~ダイアトニックコード編1~」に引き続き、今回は「ナチュラルマイナーダイアトニックコード」について解説していきます。
「ダイアトニックコード編1」を読まれていない方は、まずこちらから目を通すことをおすすめします。
初めにおさえておきたい音楽理論基礎~ダイアトニックコード編1~
ナチュラルマイナーダイアトニックコード
今回はナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードを列挙していきます。前回はKey=Cを例にしたので、対比しやすいように今回はKey=Cmで話を進めていきます。ディグリーネームも前回同様()内に記していきます。
こちらがナチュラルマイナー上で作られるダイアトニックコード7種になります。
メジャーダイアトニックコードを解説した際には、機能別に大きく「トニック」「ドミナント」「サブドミナント」の3種類に分けられると言いましたが、ナチュラルマイナーダイアトニックでも同じように大きく3種類に分類することができます。
ナチュラルマイナーダイアトニックでは「トニックマイナー」「ドミナントマイナー」「サブドミナントマイナー」の3つに分けられます。それぞれ解説していきます。
トニックマイナー(Ⅰm7)
Cm7(Ⅰm7)はトニックマイナーに分類されます。
こちらはメジャーの時と同様で、そのキーにおいて非常に安定した響きを持ったコードです。使われ方もメジャーで説明したのとほぼ同様になります。
ドミナントマイナー(Ⅴm7)
Gm7(Ⅴm7)はドミナントマイナーといいます。
こちらもメジャーのときと同様、そのキーにおいて不安定でトニックマイナーに戻ろうとする機能があるのですが、ドミナント(G7)ほど強く戻ろうとする響きを持っていません。なので、実践ではGm7(Ⅴm7)の代わりにG7(Ⅴ7)に変化させて使うことも多いです。
●Cm7→Gm7→Cm7
●Cm7→G7→Cm7
このようにG7(Ⅴ7)に変化させたほうが終止感が強く感じられると思います。とはいえ、この強い動きが必ずしも良い結果につながるわけでもないので、ケースバイケースで使いわけるようにしましょう。
例のようなコード進行の場合は、やはり3和音で終わるほうが終止感が強いのでこちらのほうが自然かと思います。
●Cm7→G7→Cm
サブドミナントマイナー
Fm7(Ⅳm7)はサブドミナントマイナーです。
メジャーのときと同様、トニックマイナーとドミナントマイナーの中間的な性質を持ったコードです。トニックマイナーに緩やかに戻ろうとする響きを持っています。
ナチュラルマイナーダイアトニックの代理コード
他のコードである「Dm7♭5(Ⅱm7♭5)」「E♭△7(Ⅲ♭△7)」「A♭△7(Ⅵ♭△7)」「B♭7(Ⅶ♭7)」は代理コードになるわけですが、内訳の仕方はメジャーダイアトニックのときと少し変わっているので注意しましょう。
●トニックマイナー(Ⅰm7)の代理コード
E♭△7(Ⅲ♭△7)
●サブドミナントマイナー(Ⅳm7)の代理コード
Dm7♭5(Ⅱm7♭5)、A♭△7(Ⅵ♭△7)、B♭7(Ⅵ♭△7)
ご覧の通り、ドミナントマイナーには代理コードが存在しません。ほとんどがサブドミナントマイナーに属しています。マイナーキーにおいては、このサブドミナントマイナーを上手く使うことが重要になってきます。
まとめ
マイナーキーの曲を作る場合には、このナチュラルマイナーダイアトニックコードを使ってコードを付けていくと、きっと上手くいくはずです。
スケールの記事で「マイナーキーの場合、ナチュラルマイナースケールだけでは不完全」であると少し話しましたが、実はダイアトニックコードでも同じことが言えます。「ハーモニックマイナースケール」と「メロディックマイナースケール」それぞれで作られるダイアトニックコードも駆使することで、より表情豊かで力強いコードワークが組めるようになります。
とはいえ「初めにおさえておきたい」ことか、というと二の次でもよいと思ったので、ここではハーモニックマイナーとメロディックマイナーについては解説せず、より重要なナチュラルマイナーに絞って解説してきました。
今回の要点は以下になります。
- トニックマイナー(Ⅰm7)、ドミナントマイナー(Ⅴm7)、サブドミナントマイナー(Ⅳm7)に分類される
- トニックマイナー(Ⅰm7)=安定した響き
- ドミナントマイナー(Ⅴm7)=不安定な響きだがドミナント(Ⅴ7)ほど不安定ではない。
- サブドミナントマイナー(Ⅳm7)=トニックマイナー、ドミナントマイナーの中間的響きでトニックマイナーに緩やかに戻ろうとする性質
- トニックマイナー、ドミナントマイナー、サブドミナントマイナー一覧↓
「初めにおさえておきたい音楽理論基礎」は今回で最後になります。これまでの内容だけでも、音楽の仕組みがなんとなくわかってくるのではないかと思います。
今後も音楽理論について何かしら解説できることはやっていきたいと思っていますので、過度な期待はせずお待ちくださればと思います。