これからDAWを使って音楽制作をしていきたいと考えているかたは沢山いらっしゃると思います。しかし、現在「DAW」と呼ばれるソフトは各メーカーから山のように販売されており、何を判断材料にして選べばいいのかわからない初心者も多いでしょう。
そこではじめてDAWを購入する際にここは事前に確認しておきたい点について、また迷ったときに絶対に失敗しないDAWの選定方法をお教えしていきたいと思います。
DAWでできること
DAWとは「D:デジタル A:オーディオ W:ワークステーション」の略称です。オーディオという言葉があることから「音」に関するさまざまなことができるとお分かりいただけると思います。具体的に何ができるかというと以下のようなことができます。
- オーディオ録音(マルチトラックレコーディング)
- 打ち込み(MIDI編集)
- 波形編集
など・・・。
まず最初におさえておきたいことは、上記のようなことは基本的にどのDAWでも可能であるということです。打ち込みが得意なDAWや波形編集が得意なDAWなどありますが、使い勝手が違うだけでどれもほぼ同じことが可能ですので、このあたりはあまり気にせずに選んでいけばいいと思います。
それではこれら以外に確認しておきたい点について述べていきたいと思います。
PCスペックの必要最低条件
DAWはPC上で動作するソフトなので、ある一定以上のスペックがないとうまく動作しないことがあります。各DAWのカタログには必ず「動作環境」や「推奨環境」「システム要件」といった記載があるはずなので、これらの条件が皆さんの使っているPCに当てはまっているかを確認しておきましょう。
例として、私が使用しているDAWであるProToolsのWindows上での必要最低条件を挙げてみると
- OSは「Windows7」または「Windows8」
- 「Intel Core i5」以上のCPU
- 4GB RAM以上(ビデオ再生時は8GB以上)
などです。
※追記:上記のシステム要件は古い情報のものです。
より詳しいProtoolsのシステム要件はこちらから確認できます。
「必要最低条件」と言いながら、これより多少PCの性能が低くても動作はすると思います。しかし、不具合がでてくる可能性は条件を満たしている場合に比べて格段に上がります。なので、1つでも多く条件を満たしているものを選ぶようにしましょう。あるいはそれに見合ったPCを新しく購入するかですね。
またDAWによっては「Windowsのみ対応」であったり「Macのみ対応」といったものも存在するので必ず確認して動作が保障されているDAWを選びましょう。
ちなみにこれらはDAWだけに限った話ではなく、DTM上級者になるにしたがって購入するであろうソフト音源やエフェクトプラグインでも同じです。自分のPCスペックをきちんと把握して、これから購入しようとするソフトがちゃんと動作するのかどうかを調べておきましょう。でないと購入してから痛い目を見ますよ!(私はソフト音源で一度失敗してます笑)
DAWのグレード
グレードとはつまり「入門版」や「ミドルクラス」「フラッグシップモデル」といったことを差します。フラッグシップは所謂「最上位版」ですね。
ここではCubaseを例に挙げてみますと
- Cubase Elements
- Cubase Artist
- Cubase Pro
に分類できます。
Elements<Artist<Proの順番にグレードが上がっていきます。「Elements」がDAWの入門的な位置づけで「Artist」がミドルクラス、「Pro」がフラッグシップとなっています。
他のDAWにも似たようなグレード分けがある場合が多いと思います。当然、入門版やミドルクラスよりフラッグシップのほうが高価でより高機能になります。はじめは安くてそれなりに使えるミドルクラスを選ぶ方が多いのですが、慣れてくるとやはり物足りなくなり結局フラッグシップにアップグレードする人が多いのも事実。
個人的な意見としては確固として「DTMをやり続けるぞ」という意思がある方は、多少高いお金を出してでも最初からフラッグシップを購入することをおすすめします。理由としては「こういう処理がしたいんだけど、これフラッグシップでしかできないの?」となったときにものすごく気持ちが萎えるからです。
「DAWってどんなもんなのか試してみたい」という方は、各メーカーのデモ版やフリー版も出ていることが多いのでそちらから試してみるのも良いと思います。
それではグレードの違いで具体的に何が違ってくるのか?
もっとも差が出るのは初期から付属するソフト音源やエフェクトプラグインの数やそれらの性能です。入門版にはマキシマイザーが入っていなかったり、ソフト音源の数があまりに少なかったりと値段相応に明らかな違いがあります。
初心者にとってはソフト音源やエフェクトプラグインがどのようなものなのかイメージし難いかもしれませんが、ここの違いもDAW選びの重要な決め手の1つになると思うのでしっかり調べておきましょう。
DAWの特色
DAWは1つ1つに特色があり、何が得意で何が不得意なのかが変わってきます。
例えばAbelton liveは実際のDJプレイやライブでも効果的に使用することができ、他のDAWと比較してループ素材を扱うことに特化しています。CubaseはMIDIの打ち込みに関してさまざまな独自機能が搭載されており、MIDIを扱うのに優れているDAWと言っていいでしょう。またStudioOneのProfessional版にはピッチ補正ソフトとして有名な「Melodyne」が付属しており、さらに独自の連携が可能になっているというところが他にない強みとなっています。
つまり「自分はDAWを使ってどんなことをしたいのか?」ということをよく考えて、それに合致する特色をもったDAWを選ぶようにすることが重要になってきます。
しっかりDAWの特色について調べて自分のジャンルやスタイルに合いそうなDAWを選ぶように心がけましょう!
DAW選びの極意
ここまで説明してきた内容を踏まえても、やはりそれぞれに一長一短があり迷ってしまうのが「DAW選び」でしょう。そこで「もし迷ったらこれで決めるべき絶対に失敗しないDAWの選び方」をここでお教えしたいと思います。
それは
- 「知り合いが使っているものと同じDAWにする」
- 「ネット上で多くの情報が共有されているDAWにする」
ことです。
初心者にとって一番の問題は、DAWを購入したあとに操作方法がまるでわからず途方にくれてしまうことです。各DAWの解説本を購入する手もありますが、やはり身近に教えてくれる人がいたほうが圧倒的に効率が良いですし理解しやすいはずです。なにより相談しやすいですよね?
知り合いにDTMをしている人がいないのなら、ネット上でよく使われているDAWを買っておくと間違いないでしょう。「ユーザーが多い=信頼できる品質である」ということ「ユーザーが多い=情報が多く共有されている」ということです。
たとえ教えてくれる人が身近にいなくても、ネットで調べて解決することが比較的容易になります。
DAWの機能的なことを考えるのも大事ですが、実際に扱えるようにならなければ全く意味を成しません。なので迷ったらとにかく周りの人が使っているDAWを選ぶようにしましょう!
まとめ
最後に以上のことをまとめて個人的におすすめするDAWを3種をお教えします。
- Steinberg 「Cubase」
- Avid 「Protools」
- PreSonus 「StudioOne」
これらが私の個人的におすすめするDAW3種です。(基本的にどれも最上位版をおすすめします)
どれも作編曲や打ち込み、ミックスからマスタリングまでそつなくこなせる総合力をもっており、どんな音楽スタイルの方が使っても馴染みやすいはずです。
Cubaseは国内シェアNo.1で日本で一番使われているDAWです。そのためネット上に沢山の情報が転がっています。
ProToolsは業界標準となっており、レコーディングスタジオには十中八九このProtoolsが導入されています。そのため、この道の専門学校では必ず学ぶことになるDAWなので多くの情報が共有されています。レコーディングエンジニアといった道に進もうと考えているなら、扱えるようになっておかなければいけないDAWですね。
StudioOneは登場してからまだ日が浅いDAWではありますが、ものすごい勢いでユーザーを獲得しているDAWです。情報量は他より劣っているかもしれませんが、直感的な操作性や動作の軽快さに定評があり初心者でも安心して使うことができるでしょう。また非常に的を得た独自機能が多く搭載されており、私がもしDAWを乗り換えるならこのStudioOneにしたいと考えているくらいです。
各DAWのホームページはこちらです。
本当に沢山のDAWがありますが、あなたのスタイルにあったものが必ずあるはずなのでぜひ探してみましょう!