打ち込みストリングスをより良く仕上げる4つのテクニック

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ストリングス音源

今回は私が楽曲制作でストリングスを使用するとき、実際に行っているオススメのテクニックについて紹介していきたいと思います。

多少手間のかかるテクニックになりますが非常に効果のあるテクニックですので、ストリングスの打ち込みで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

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打ち込みテクニック一覧

今回紹介するテクニックは以下の4つです。

  1. クオンタイズはしない
  2. 別の奏法を重ねてみる
  3. 複数の音源をミックスする
  4. 1stVnにソロVn音源を重ねる

詳しく解説

1.クオンタイズはしない

 個人的にストリングスの打ち込みでもっとも重要な部分ではないかと考えています。

ストリングスはいわば個々の楽器の集合体です。そのため、実際はかなり発音のタイミングが揺れていたりします。このタイミングの揺れによるリアリティを出すためには、やはりクオンタイズは極力避けたほうがよいのです。

そしてもう1つの理由はストリングス音源特有のアタックの遅さによって、もたついた演奏にならないようにするためです。

音源にもよりますが、ノートを前にずらさないともたついた印象になっていまいがちですよね?手間はかかりますが、1音ずつノートを調整してタイミングを合わせるようにすると格段にストリングスの仕上がりは良くなります。

とはいえ、あえて機械的にするためにクオンタイズするのは全然ありだと思います。これはあくまで、より生っぽく聴かせるためのテクニックですので、自分の作る楽曲に合わせて使い分けると良いと思います。

2.別の奏法を重ねてみる

上でも少し書きましたが、ストリングス音源は特にサステイン系の音のアタックが遅めになりがちです。それを補うために、曲調やフレーズに応じて「スタッカート」など発音の速い奏法を重ねてアタック感をだすテクニックはとても有名です。

有名ゆえにそんなことを紹介しても仕方ないので、ここでは他の奏法を重ねるテクニックについて紹介しようと思います。

それはスタッカート系のフレーズに「トレモロ」を重ねるテクニックです。

こうすることで、よりスリリングな刻みフレーズを表現することができるようになります。ハリウッド映画の劇伴のようなストリングスに仕上げたい場合にとてもオススメです。

スタッカートのみとトレモロを重ねてみた2つの例を用意したので確認してみてください。

・トレモロなし

・トレモロあり

※先の項でクオンタイズはしないほうが良いと書きましたが、効果をよりわかりやすくする為ここではあえてクオンタイズしています。

かなり微妙な違いですが、トレモロなしに比べてトレモロありのほうが複数人で刻んでいる感じ、また余韻、揺らぎのようなものが生まれているのがわかりますでしょうか?そういったものを擬似的に与えてやることで、よりリアルな感じを演出しているのです。

コツとしては、トレモロの余韻が長くなり過ぎないようリリースを調整することと、トレモロの音が前に出過ぎないよう控えめにすることです。

デメリットとして、このテクニックはどうしてもストリングスの人数感が増えてしまいます。曲の雰囲気をよく考慮したうえで使うようにしましょう。

アイデア次第でこれら以外にも効果的な奏法の重ね方があるかもしれないので、いろいろと試してみたいところですね。

3.複数の音源をミックスする

こちらも劇伴やシネマティックなストリングスを作りたい場合にオススメのテクニックで、1つのストリングス音源だけでなくもう1つ別のストリングス音源を立ち上げてミックスするというものです。

具体的には”Vienna”のようなドライなストリングスと”EastWest”や”Cinematic Stirngs”のようなホールの響きが存分に入っているウェットなストリングスをミックスします。

まずはそれぞれ単体で聴いてみましょう。ドライ音源のほうは前項の”トレモロあり”と全く同じです。

・ドライ音源の音(使用音源:Vienna ChamberStrings)

・ウェット音源の音(使用音源:Cinematic Stirngs2)

それでは2つをミックスしたものを聴いてみましょう。

・Vienna+CS2

どうでしょうか?楽器そのものの鳴りをしっかりと残しつつ、CS2の最大の持ち味であるホールの響きも存分に発揮されているかと思います。このサンプルでは多少ドライが大きめで前に出すぎている感じがありますが、ボリュームバランスやコンプ、EQでさらに細かく追い込むこともできます。

ドライの音にリバーブをかけてホールの響きを出すことももちろん可能ですが、最近のストリングス音源はホールの響きも楽器の一部と捉えて、高品質に収録しているものが多いのでそれを使わないのは勿体無いですよね。またリバーブ単体でそういった響きを作るよりも圧倒的にリアルなので、当然のように生っぽさが出てきます。

注意すべき点は、ウェットな音源の響きが楽曲にあっているかどうかという点と、二つの音源の各セクションの配置を揃えなければいけない点です。また楽曲のミックスの際に少し苦労することになるかもしれませんので、そのあたりに自信のある方は積極的に使ってみるのをオススメします。

ちなみにVienna+EastWest QLSOだとこんな響きになります。CS2とは全く違う響きになるのが面白いところ。いろいろな組み合わせを試してお気に入りを探してみましょう。

・Vienna+QLSO

4.1stVnにソロVn音源を重ねる

プロの現場では打ち込みストリングスの1stヴァイオリンのみ、ソロでレコーディングして重ねることがあるそうです。目的はもちろん打ち込みっぽさを軽減し生っぽさを出すため。

本当はしっかりストリングスセクションとしてレコーディングするのが最良なのでしょうが、予算やスケジュールの関係上それができない場合にこういった手法がとられるようです。

そしてこれをもっとお手軽化してDTMer向けにしたものが、1stVnにソロヴァイオリン音源を重ねるテクニックです。

まずは打ち込んだソロVnの音を聴いてみましょう。使用した音源はAUDDICTのVirtuosicViolinという音源です。

AUDDICT_VirtuosicViolin

・ソロVr(VirtuosicViolin)のみ

この音源はリバーブを切っても空間の響きが残ってしまいますが、気にせずアンサンブルのものと重ねていきます。

その前に、例の使いまわしですがアンサンブルだけの音も確認しておきましょう。

・アンサンブル

そして、こちらが2つをミックスしたもの。

・ソロVn+アンサンブル

1stの音に芯が増して、より細かい演奏のニュアンスが出るようになっていると思います。

生演奏のものにはやはり敵いかと思いますが、それでも最近のソロヴァイオリン音源は非常にリアルで表情豊かに演奏してくれるので、充分代用として機能してくれることでしょう。

実際にヴァイオリンが演奏できるかたはこんなことをせずに、自分で弾いたのをレコーディングして重ねましょうね。

まとめ

今回紹介したテクニックは基本的に打ち込み臭さを軽減し、生っぽさと派手な感じを際立たせるためのテクニックです。どんな場合にでも使える万能テクニックではないので、自身の表現したいストリングスを吟味した上で使うようにしましょう。

しかし、楽曲の方向性とハマればかなりの効果が期待できるので皆さん是非試してみてください。

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