エレキギターでのEQ活用術

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G_EQ

エレキギターに使用するエフェクターといえば「歪み系」「ワウ」「モジュレーション系」などいろいろありますが、他に比べて圧倒的に地味で注目されないエフェクターが「EQ(イコライザー)」です。

しかし、私から言わせればEQほど便利なエフェクターは無いと思っています。エレキギターで使用するエフェクターの中では多少難しい部類になるかも知れませんが、そのぶん使いこなせるようになったときの威力は絶大です。

今回はそんなエレキギターでのEQ活用術について紹介していきたいと思います。

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そもそもEQ(イコライザー)とは?

EQ(イコライザー)とは楽器のある特定の周波数帯域をブースト(増幅)カット(減衰)するための機材です。これによって音質を変化させます。

アンプのつまみにも「Treble(もしくはHigh)」「Mid」「Bass(もしくはLow)」といったものがあると思いますが、これらもEQです。コンパクトエフェクターのEQはこれらのつまみの機能をさらに精度を上げてアンプから取り出したものと考えればわかりやすいでしょう。

どういった点でアンプのEQより精度が上がっているのか?

  • 調節する周波数帯域(~Hz)を選べる
  • ブースト・カットのできる幅が大きい

といった点でアンプについているEQよりも強力になっています。

しかし「コンパクトエフェクターのEQ」が「アンプのつまみのEQ」の変わりになることはありません。後述しますが、EQは使用する場所(どこに接続するか)で効果が大きく変わります。アンプのEQによる音作りはそこでしか行えないということを覚えておきましょう。

EQには大きく2種類ある

EQには大きく分類して2種類に分けられます。もちろんエレキギターで使用するEQにもこの2種類のどちらかに分類できます。

  • グラフィックイコライザー(以下、グライコ)
  • パラメトリックイコライザー(以下、パライコ)

この2種類です。

それぞれどのように違うのでしょうか?

グラフィックイコライザー

グライコの大きな特徴はバンド数(調節できる周波数帯域の数)が多いことです。多くが7バンドくらいで、少なくても5バンドくらいでしょうか?多いものだと10バンドのグライコもあります。

MXR_EQ

アンプについてるEQのほとんどが3バンドということを考えると遥かに多いですよね。

また特定の帯域を局所的にブースト・カットできるという点でも便利です。

短所といえば、調節できる周波数帯域が固定ということでしょう。例えば右の画像の「MXR 10BAND GRAPHIC EQ」の場合だと、500Hz~1000Hzの間をブーストしたいと思ってもそこにつまみがないので調節のしようがありません。

とはいえ、視覚的にどの帯域をどれくらいブースト・カットしているのかがわかりやすく、操作も各帯域のつまみを上下させるだけで簡単なので、EQ初心者はパライコよりもこのグライコを使うことをおすすめします。

パラメトリックイコライザー

グライコが少なくても5バンドいじれるのに対して、パライコは大体が3バンド、多くても4バンドくらいでしょう。機種によっては1バンドなんていう男らしいパライコもあります。

こう見ると「パライコよりグライコのほうがいいんじゃん!バンド数は多いし、わかりやすいし!」と思うかも知れませんが、パライコにも大きな長所があります。

それは任意の周波数帯域を調節できることです。

Para_EQ

グライコは完全に固定ですが、パライコの場合は「フリケンシー」というつまみを調節して自由な帯域を調節することができます。EQの扱いに慣れてくると初めから狙って「500Hzをいじりたいな」というふうになってきます。しかしグライコだと困ったことに「400Hzはあるけど500Hzがない!」なんてことがおこるのです。

そういう場合にパライコが便利なのです。

とはいえ、どこが500Hzなのか?という表示が無いので自分の耳を頼りにするしかありません。こういった点では多少上級者向けかもしれません。

またギターやベース用のコンパクトエフェクターとして、パライコはグライコに比べてあまり出回っていません。購入する際は少し苦労するかも知れませんね。

エレキギターでのEQ活用術

それではここからEQの様々な活用方法を紹介していきたいと思います。まずはじめはスタンダードに音作りに関する使い方からいきましょう。

1.エレキギター本体にEQ

EQは繋ぐ場所によってその意味合いが変化してきます。

まずは「ギター→EQ」というふうにギターから直接EQにつなぎます。

この場合は、あなたが演奏するギター本体にEQをかけているという認識です。だからここでEQの高音域を上げてやれば、あなたのギターが高音成分の多い「ギラギラした音のするギター」に変化するというイメージになるわけです。

2.歪みペダルにEQ

「ギター→歪みペダル→EQ」というふうに繋ぐとオーバードライブやディストーションで歪んだ後にEQをかけることになります。ためしにEQの設定は同じままで歪みペダルの前に繋いだ場合の音と後に繋いだ場合の音を比較してみるといいですよ。音の傾向は似ているかもしれませんが違った出音になることが確認できると思います。

このように歪みペダルの後にEQを繋ぐ場合は、オーバードライブやディストーションの「歪み成分」にEQをかけているというようなイメージになります。

3.アンプのセンド・リターンにEQ

コンパクトエフェクターのEQをセンド・リターンに使っている人をあまり見たことがありませんが、前者2つに比べてEQのかかり方がわかりやすく、もっともEQをかけたときの効果が大きいです。例えばアンプでかなり歪ませた状態にして、このセンド・リターンでEQの中音域を下げると一気に重心の下がった重たいディストーションサウンドに変化しますよ。

この接続方法はアンプで作られた音に対してさらにEQをかけて調整しているイメージになります。

このようにEQは使用する場所で効果が大きく変わるのでいろいろな接続方法でEQセッティングもいろいろ試してみましょう。

4.ブースターとして使う

ここからは少し変化球的な使い方。

最初の「エレキギター本体にEQ」と同じようにギターから直接EQに繋いで、そのEQのボリュームだけを上げます。するとクリーンブースターのように使うことができます。

任意で特定の周波数帯域を上げてやることで、ミッドブースターやトレブルブースターのように使うことも可能になります。

もちろん本物のミッドブースターやトレブルブースターとまったく同じとは言えませんが、何かあったときの代用としては充分機能するでしょう。

5.ラジオっぽい音に変化させる

これはセンド・リターンでEQを使うのが効果的でしょう。

そこである設定をするとこのような音を作ることができます。

EQ設定は以下の画像のとおり。

ラジオEQ

まずはEQで3000Hz(3KHz)あたりから上をばっさりカットします。そのすぐ下の帯域である2000Hz(2KHz)を思い切りブーストし、そこをピークにして下の帯域にいくにしがってなだらかに下げいくようにします。そして、400Hzあたりから下の帯域をまたカットしていきます。

するとまるでラジオからギターを出力しているかのような音に変化します。

このような過激なセッティングにすることで非常にクリエイティブな使い方もできるのがEQの面白いところです。

6.ハウリング対策に使う

これはグライコのほうがやりやすいでしょう。

この場合はEQの接続位置は好きなところでいいと思います。

具体的な方法は、まず一通りのセッティングを終えた後にEQをONにして1つ1つの帯域を順番にブーストしてみます。そして、ひどくハウリングする帯域だけを音に影響が出ない範囲でカットするのです。(といっても必ず音は変化してしまうのですが・・・)

そうすることによりハウリングしやすい帯域をあらかじめ排除して、ハウリングしづらくするのです。

ブーストしてハウリングしやすい周波数帯域をさぐる際はあまり上げ過ぎないよう気をつけましょう。上げ過ぎでハウリングするのは当たり前です。少し上げただけですぐにハウリングする帯域こそ、非常にハウりやすい帯域ということですからそこだけをカットするのです。

実はこれライブハウスなどのPAさんたちがマイクでハウリングしないようにするEQ処理と同じ手法なんですよ。

まとめ

知れば知るほどいろいろな活用方法が見えてくるEQ。きっとここで紹介した以外にもいろんな活用術があると思います。

たった1つのEQでこれほどの活用法があると1台くらい持っていても損はないはず。

また周波数帯域を聞き分けられる耳を持つことは音楽をやっていく上で非常に重要になってきます。EQはそのトレーニングにも非常に適しているので、ぜひ皆さんもEQで遊んでみてはどうでしょうか?

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