シールドの種類で音はどれほど変わるのか?~手持ちのシールド音質を比較してみた~

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エレキギターはアンプとセットになることで、はじめて完成される楽器です。そのエレキギター本体とアンプとを繋ぐ役割を担っているのがギターケーブル、いわゆる「シールド」と呼ばれているものです。

シールドの役割は非常に単純で、エレキギターから発する音を電気信号としてアンプあるいはエフェクター等の機材に伝送する為にあります。たったそれだけの役割にも関わらず、いろいろなメーカーからギターシールドが販売されており音質もさまざまです。「このシールドは音が太くなる」「このシールドは非常にフラットな音質だ」といった評判は、ある程度エレキギターを弾いてきた方なら聞いたことがあると思いますし、同時にとても気になる点でもあると思います。

そこで今回は、私が所持している全メーカーのシールド音質を比較してみました!その中から気になるシールドが1つでも見つかればと思います。

少々前置きが長くなってしまいましたが、さっそく比較してみましょう!

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音質比較の環境

まず各シールドの音を聞く前にどのように音を録音したかをご説明します。

  • セッティング:ギター本体→オーディオインターフェースのHi-z端子に入力し、直にDAW録音
  • 使用ギター:シェクターのSD-2AS(リア側でコイルタップを使用。Vo、Toneともにフルテン)

ギター、IF、DAW

簡単なコードバッキングとアルペジオフレーズを録音しています。また、DAW上ではアンプシミュレーター等は使用せず、DIからの素のままの音で比較していきます。

比較シールド一覧

今回比較したシールドは以下の7つになります。

  • CANARE(3m)
  • Monster Rock(2.2m)
  • Monster Rock(6.4m)
  • CUSTOM AUDIO JAPAN (5m)
  • PROVIDENCE LE501(5m)
  • メーカー不明のカールコード
  • 自作シールド(約3m)

それでは実際に音を聞いていきましょう。

シールド音質比較

CANARE(3m)

まず一番手のシールドはコレ。シールドのド定番CANAREです。リハスタ等でシールドを借りたら確実にこのシールドが出てくるかと思います。プロアマ、ジャンルを問わず幅広いユーザーに使われているという点では、信頼性において他メーカーの追随を許さないシールドといえるでしょう。

バッキング

アルペジオ

はい、コレが定番シールドの音です。さまざまな現場で信頼して使われているだけあってレンジの広さ、情報量の多さが申し分ないと思います。少々固めの音質が特徴的で、低音弦もタイトに響いている印象です。凛とした高音域が素敵です。

定番シールドということで、このCANAREを基本にして他のシールドと比較してみると違いがわかりやすいかと思います。

Monster Rock(2.2m)&(6.4m)

高級シールドの代表格で「音が太くなる」と評判のシールドです。音質云々の前に黄金に輝くプラグが気分をそそりますね。私の所持しているものは古い型で現行のプラグは違う形状をしています。

Monsterからは他にもいろいろな種類のシールドを出していますが、エレキギターに使うものとしてはこの「Rock」が第一候補として挙がると思います。ちなみにMonsterはフィート単位の長さで販売しているので、メートルに直すと中途半端な数字になるのです。

バッキング

アルペジオ

さすがは高級シールドの代表格というべきところでしょうか。CANARE以上にレンジが広く、特に低音域に大きな差がありますね。高音域はCANAREと同じような感じですが、質感がギラギラとしていて多少派手に感じます。評判どうりの「太い音」です。「Rock」という名が付いているだけあって、歪ませると非常に気持ち良く鳴ってくれるシールドだと思います。

先は2.2mの短いものでしたが、次は6.4mの比較的長いものを聞いてみましょう。Monster Rockに関してはこの長さ違いを2本持っていたので、シールドの長さによって音がどのように変わるのかこれで感じてみてください。

バッキング

アルペジオ

いかかがでしょうか?同じシールドでも長さが違うだけでかなり音が変わりますね。

短いものと比べるとレンジの広さにかなりの差があり、高音、低音ともに狭くなっています。長いぶん音質の損失が大きいということがわかるかと思います。その代わり、相対的に中音域でクセが出るようになっていますね。基本的にはデメリットが多いわけですが、なかにはこういった音の変化を狙ってあえて長いシールドを使っている人もいるくらいなので、結局は使い手次第といったところなのでしょう。

CUSTOM AUDIO JAPAN(5m)

CUSTOM AUDIO JAPAN(以下CAJ)は上記の2メーカーと同じく、何かと人気のあるシールドです。現行製品ではどうなのかわかりませんが、私が購入した当時のパッケージには代表的なアーティストユーザーの名前が列挙されていました。その中に私の好きなアーティストの名前もあったので、貧乏学生だった私には少々高い買い物だったのですが無理して購入した記憶があります。

バッキング

アルペジオ

使用したシールドが5mと結構長めなので、その特徴が結構出ていますね。短いものだと高音、低音ともにもっとはっきり出てくるかと思います。

CAJの音の感想としましては「とにかく滑らかな音」という印象です。CANAREと同じように高音よりの音質なのですが、CANAREのような「硬さ」を感じさせません。またMonsterのようなパワー感のある音とは対照的にしっとりとした印象を感じさせます。Monsterがゴリゴリのロックなら、CAJは流麗なバラードに最適というふうに思いますね。

あまりパッとしない音質のシールドかも知れませんが、バッキングでもアルペジオでもバランスよく鳴ってくれるシールドのように思います。

Providence LE501(5m)

CAJに引き続きこちらも使用したものが5mと長いです。ProvidenceもMonsterと同じくいろいろな種類のシールドを出しており、私が使用したのはProvidenceの中でも特に安い「LEシリーズ」というものになります。

このシールドは、ギターの音の良し悪しなんて全くわからなかった時代に友人に薦められて買ったものです。なんだかんだMonsterやCAJを手にした後でもよく使っていましたね。

バッキング

アルペジオ

全体的にCAJとかなり似ているように思いますが、こちらのほうが若干重心が低くなっています。また、こちらのほうが雑味が多くCAJのほうがよりクリーンな印象を受けます。短いものの場合、どれくらいレンジが上下に広がるかが少し気になるところです。

LEシリーズはProvidenceの中でもっとも下位に位置するシールドなので、もっと上のランクのProvidenceシールドがどのような音をしているのか気になります。

取り回しの良さだけなら今回比較したシールドの中で一番だと思います。

KyoritsuCorporationカールコード(3m)

もはやいつどこで買ったのかも覚えていないカールコードです。何年も放置していてホコリまみれになっていました。どこのメーカーのシールドかもよくわかっていなかったのですが、ケーブルの外皮に「KyoritsuCorporation」と書かれておりそれをもとに調べたところ、まさしくそれがメーカー名だったようです。

バッキング

アルペジオ

カールコードの長さはその特性上、表記されている長さより実際は遥かに長くなっています。巻いている部分をもし伸ばせたら10mくらいになるのではないでしょうか。そのためこのシールドもその特徴がよく出ており中音域のクセがよく出ています。若干枯れたようなトーンがアルペジオで良い味を出していますね。

正直、何年も放置していたわりにまともな音が出てきて驚いています(笑)

自作シールド(約3m)

最後は市販のシールドではなく、私の自作シールドです。MOGAMIの2524とノイトリックのプラグを使用しており、自作シールドとしてはよくある組み合わせかと思います。

自作は作るという労力が掛かるぶん面倒ですが、安く大量にシールドやパッチケーブルを手に入れられる手段でもあるので、興味のある方や半田付けに自信のある方は挑戦してしてみると良いかもしれません。

バッキング

アルペジオ

ここまで紹介してきたシールドと比べると、かなり異色な感じがしますね。その理由としては、軽くコンプ感があることだと思います。実際に弾いてみるとその感覚がよくわかるのですが、ピックと弦のアタック音が絶妙に前に出てきて、カッティングフレーズを弾くならこれが最適なように思います。おそらく、このコンプ感の原因はノイトリックのプラグにあると思われます。プラグによる音質変化はいつか検証してみたいですね。

同じくらいの長さであるCANAREやMonsterに比べると、レンジもそこまで広くないし音の太さもそれほど感じないですが、不思議とアンサンブルに混ざると音が抜けてくるシールドです。ちなみに私が現在メインで使用しているシステムは、このシールドで全て統一しています。

比較してみた感想

今回、手持ちシールドをいろいろ比較してみて思ったことはCANAREのコストパフォーマンスの良さです。サウンドハウス等で調べるとわかると思いますが、同じくらいの長さで比較するとCANAREがもっとも価格が安いのです。それにも関わらず、高級シールドの代表格であるMonsterと肩を並べるくらいのクオリティを今回の比較で感じました。

低音域に対するレンジの広さは確かに差があるかも知れませんが、実はMonsterのように低音がよく出ることをデメリットに感じる人もいるんですよね。

低音が増えると音の重心が下がり、結果的にアンサンブルにおけるギターの位置が思ったより下がってしまったりします。またギターで必死に低音を出したとしても、結局はベースと帯域がぶつかって逆効果になることもあるでしょう。EQで調整すればいい話でもあるのですが、EQを使わないで済むのならそっちのほうが良いのは明白ですよね。

こういったことを考慮するとCANAREとMonsterは価格差が大きいながらも、対等に張り合える音質を持っていると言えるでしょう。少なくとも、私はこういった点でCANAREのコストパフォーマンスの良さには驚きました。「シールドで迷ったらCANAREを使っとけば間違いない」というのにも納得です。

まぁ、私はどちらかというとMonsterの音のほうが好きなんですが(笑)

あとシールドの長さは極力短めにしたほう良いと思いましたね。シールドの種類よりむしろ、長さのほうに着目したほうが良いのかも知れません。

最後に、個人的な好みで今回比較したシールドを順位付けしてみました。

  1. Monster Rock(2.2m)
  2. CANARE
  3. 自作シールド
  4. CAJ
  5. Monster Rock(6.4m)
  6. Providence
  7. Kyoritsu

みなさんはどのような順位付けになったでしょうか?

それではまたの機会に!

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