突然ですが、次回ニコニコ動画に投稿する新ボカロ楽曲の制作過程全てをこのブログにて紹介していきたいと思います。
私がどのような順序で制作を進めて、何を考えながら楽曲をカタチにしているのか。その全てを実際に曲を作りながら解説していきます。ボカロPが実際にどのようにして楽曲を作っているのか?あるいは私”天霧翔太”がどのようにして楽曲を制作しているのか?興味がある方はぜひご覧になってください。
はじめに言っておきますが、出し惜しみをするつもりはありません!
前置きと注意事項
皆さん”音楽”ってどのようにして作られているかご存知ですか?既に知っているという方でも、あなたの憧れのアーティストや知り合いの作曲家、DTMerがどのように曲を作っているか知っているでしょうか?
イラストの界隈ではこんな動画があったりします。
いわゆるメイキング映像ってやつですね。作品をゼロから作り上げていく過程を垣間見ることができるわけです。
音楽の世界ではこういったものって少ないですよね?
上の動画のようなイラストメイキングと比較すると圧倒的に数が少ないはずです。作曲講座や打ち込みのコツなんかを解説している動画や記事はあれど、自らの制作過程全てをさらけ出してるものってほぼ無いに等しいと思うのですよ。
なので、私がそれをやってみようと思います。
動画としてまとめるのはさすがに難しいですが、ブログ記事の連載としてまとめることは可能でしょう。(それでもえらく時間と労力がかかると思いますが…)
記事のタイトルにもある通り”ボカロ楽曲”の制作から投稿までに焦点を当てますが、普通の歌もの楽曲を制作する過程とさほど変わらないので「ボカロなんて…」と思う方でも得られるものは多いと思います。また「ボカロ楽曲動画をニコニコ動画に投稿する」ところまで解説するつもりなので、動画の編集なんかにも軽く触れたいと思っています。
自分で言うのはアレですが、「ボカロPになりたい!」と思っている方は必見です。
注意点としては、あくまで私個人の制作フローなので、みんながやっていることもあれば私しかやっていないような特殊なこともあります。また、一般的にはよくないとされる方法を用いている場合もあると思うので、そういったことには注意してご覧ください。
さて、長い前置きはこれくらいにして早速始めていきましょう!
制作過程アウトライン
私の大まかなニコ動投稿までの過程は以下の通りです。
- 作曲下準備
- 作曲
- 編曲
- レコーディング(Gtのみ)
- 作詞
- ボカロ調声
- ミックス
- マスタリング
- 投稿用動画制作
- ニコ動へ投稿
ざっと並べてみましたが、実際はさらに細かい作業がてんこ盛りです。
企画上、今回は一人ですべて完結させるつもりなので、上記のような流れになっていますが、誰かに依頼するなど複数人で制作する場合は必ずしもこの通りになるとは限りません。
作曲下準備
さぁ、早速DAWを立ち上げて作曲!といきたいところですが、私の場合、その前にやることがあります。
個人的に良い曲を作れるかどうかはここで決まると言っても過言ではないと思っていますので、しっかり掘り下げていきます。
1.テーマ、曲の方向性を決める(どんな曲を作りたいか具体的に決める)
DAWの起動や五線譜を用意するよりも、まず最初にやることはコレです。
具体的には、
- ハイトーンVoが映える図太いハードロック楽曲
- アイドルポップなノリの良い4つ打ち系楽曲
- ジャンルごちゃ混ぜのアニメOP風の楽曲
- バーで流れていそうなオシャレなジャズ楽曲
- 某ヤスタカを彷彿させるようなEDM楽曲…etc
といったことを決めます。
上記のような感じでも良いですが、できればさらに詳細に決めておいたほうが良いです。例えば「アニソン風の曲」としたなら「どんなアニメの曲なのか?」「OP曲なのかED曲なのか?」「Voは男性なのか女性なのか?」といったことまではしっかり決めてしまいます。
作りながら考えることもあるのですが、最終的にはどこかの段階で決定することなので初めの段階でしっかり構想を練るほうが良いと思います。そのほうが、実際の制作時により音楽的なことに集中して労力をつぎ込めると思うので。
そしてなにより、制作途中で迷子にならないようにするために方向性を定めておくことは非常に大切です。方向性が決まっていないと「アレも良いな、コレも良いな」といろいろ手を出してしまいがちです。それによって「結局、何が良いのかわからない」「コレで本当にいいのかな?」という迷いに繋がります。こんなしょーもないことで悩むのは勿体無い。時間をかけるべき部分は他にもありますからね。
まぁ、ゴタクはこれくらいにして兎にも角にもまずテーマ、方向性(どんな曲を作りたいのか?)を決めましょう!
というわけで。今回私が制作する楽曲のテーマは
『はじける青春!JKバンドが文化祭で演奏したくなるボカロ楽曲!』
です。
なぜこのテーマにしたかというと、それは過去にした自分のつぶやきが発端です。
JKバンドの集まりを見て「あぁ、オレも混ざりてぇな~」としみじみ思ったので、JKバンドに加わった”気分”になってJKバンドなオリジナル曲を作ろうと決意しました。
尚、制作は相変わらず自分一人です。— 天霧翔太@「赤い羽根×ピアプロ」最優秀賞 (@SAG_02357) 2018年4月21日
あとは秋なのでね。一般的には文化祭シーズンでしょ?
それでは、このテーマに向かって制作を進めていきたいと思います!
2.テーマ、方向性を吟味する
ある程度のテーマ、方向性が決まったらそれをさらに掘り下げていきます。先にも言いましたが、詳細に決まっているほうが良いからです。
『はじける青春!JKバンドが文化祭で演奏したくなるボカロ楽曲!』
まず”バンド”というからにはもう楽器構成は決まったも同然ですね。
ボーカル、ギター、ベース、ドラムという王道構成でしょう。さらにキーボードが加わってもいいですね。あと、これは勝手な私のイメージではあるのですが、JKバンドはギター&ボーカルであることが多いように思います。なので、そのあたりも考慮すると楽器構成はこんな感じですね。
- ボーカル(兼バッキングギター)
- リードギター
- ベース
- ドラム
- キーボード
これが決まった時点で「何の楽器を入れようかな?」と悩むことはなくなりましたね。せいぜいキーボードは何の音色を弾かせようか?くらいかと思います。このように具体的にイメージを固めてしまえば、確実に迷いのタネは減っていくのです。
さて、次は曲の「テンポ感、スピード感」を考えてみましょう。
“はじける青春”で”文化祭で演奏したくなる曲”というくらいなので、ノリの良いミドル~アップテンポが良さそうですね。初心者バンドでも演奏できそうなテンポ感、でも少し背伸びして挑戦したくなるくらいのスピード感を狙いたいところです。文化祭ライブということですから、そりゃあいつもの自分とは違うカッコいい姿を見せたいでしょうからね!
・BPM:150~180
といったところでしょうか?
“曲調”について考えてみましょう。
これはなかなか難しいですが、軽快に爽やかでバンドらしいカッコよさが欲しいところですね。制服のまま走り出すような青春イメージをつくりたい。なのでKeyとしては”メジャー(長調)”よりにしたほうが良さそうですね。
そして、この曲において一番大事なことは「高校生でも弾けるような曲」であるということでしょう。少し言い方を変えれば「プロでなくてもカッコよく演奏できる曲」でしょうか。これは編曲(アレンジ)の際に念頭に置いとかなければいけないところでしょうね。演奏難度の高い楽曲をJKが文化祭で演奏しようとは思わないでしょう。(まぁ、中には強者ぞろいのJKバンドなんかもあるかも知れませんが…)
DTMは人間には演奏不可能なことさえ実現できてしまうので、今回に限ってはそういった楽曲にならないよう気をつけなければいけません。
そして、忘れてはならないのが”JKバンド”風な曲にするといっても”ボカロ曲”であること。
実際に歌唱するのはボーカロイドです。我が家にいるボカロは「初音ミク」「結月ゆかり」の二人なので、JKっぽいといったら…まぁミクでしょう。(異論は認めますが、この方向でいきます)なので初音ミク曲として制作を進めていきます。
これでかなり楽曲の方向性が見えてきました。これくらい固めておけば、迷子になることも少なくなるでしょう。
作曲初心者の場合は、自分の作りたい曲のイメージに近い既存曲、リファレンスとなる楽曲を決めてから上記のようなことを考えてみるとよいでしょう。大概のことは、そのリファレンス曲のなかにそのまま答えが詰まっているので、簡単に具体化することができると思います。
これらを踏まえて作曲開始
ここまで決めてから、やっとメロディを作り始めます。
「こんな面倒なこといちいちやってんのかよ」と思う上級者の方もいるでしょうが、そんなこんな考えているうちに良いメロディやモチーフが降ってくることがほとんどなので、私としては上記の下準備も立派な作曲の一環なのです。
というわけで、今回も良さげなメロディの断片が降ってきたので、それを聴いてもらって今回は終了にしましょう。
このメロディの断片をきっかけに、これから一曲仕上げていきたいと思います!