とあるボカロPがニコ動に作品を投稿するまでの全制作フローを徹底解説(3)

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Pf_ivory

ボカロ曲の制作過程全てを解説していく連載。今回は第3回目になります。

前回はサビのアウトライン、大体の全体像を作り上げました。今回はそれをさらに練り上げていこうと思います。

これまでの記事はこちらからどうぞ↓

第1回目:前置き&作曲下準備

第2回目:サビアウトライン制作

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現在の進捗状況

  1. 作曲下準備
  2. 作曲 ←現在行っている作業
  3. 編曲 ←2とほぼ同時進行
  4. レコーディング(Gtのみ)
  5. 作詞
  6. ボカロ調声
  7. ミックス
  8. マスタリング
  9. 投稿用動画制作
  10. ニコ動へ投稿

前回に引き続き「2」「3」の作業を行っていきます。

というか、しばらくはひたすらこの作曲と編曲作業になります。

前回のおさらい

まずは前回の成果を聴いておきましょう。

前回はとにかくサビの雰囲気や全体像を作ることに専念したので、なんとなく曲っぽくはなっていますね。けれど、まだまだ手を加える部分がたくさんあります。

今回はもう少し細かい部分に目を向けて、各トラックを調整し、サビだけはほぼ完成という状態を目指していきたいと思います。

———

余談ですが、前回の更新から別の曲の制作にかまけてしまい、しばらくこの曲の制作がストップしていました。しかし、前回でしっかりイメージを汲み取れるアウトラインを作っていため、この曲制作のリスタートが非常にスムーズにいっています。細かいところを無視して、まず全体像を作り上げるメリットというのはこういうところにもあるのです。(そもそも途中で止めるなよという話ですが…)

———

ドラムを細かく作り込む

さて、上の音源の状態で一番気になるのがリズムだと思います。

ドラム、特にキックに注目するとわかりやすいですが、メロディやギターのバッキングと噛み合っていない部分が多々あります。(そういうのを無視して進めてきたので当然ですね)特に27秒~のドラムの投げやり感は酷いので、これらを調整しつつフィルインやキメのリズムなどを作っていきます。

27秒~のリズムを固める

とりあえず現状でもっとも酷い部分をなんとかしていきましょう。

ここは現在のギターの「ジャー・ツ・ジャー・ツ・ジャー」というリズムに合わせてドラムをアレンジしたほうが良さそうです。というか、そのつもりでギターを弾きました。

なので、それに合わせてドラムのフレーズを作っていこうかと思ったのですが、さらなる問題点、というか気になる点が出てきました。そもそもギターとメロディのアクセントが噛み合っていないのです。

MIDI画面で確認すると、この部分になります。(わかりやすいようギターもMIDIで入れてみました)

jk_gt_midi_1_tx

少し賢そうな言い方をすると、ギターが4分音符シンコペーション、メロディが8分音符シンコペーションになっているわけですね。

実際のところ、他でも似たようなようなズレ方をしてる部分があるのですが、ここに関しては揃えておいたほうが良いなと感じました。

ここで打てる手としては2種類。

  1. メロディを変更して、ギターに合わせる
  2. ギターを変更して、メロディに合わる

少し試行錯誤してみたのですが、メロディをいじると「何かイメージと違うなぁ」と思うところがあったので「2」の方向性で進めていこうと思います。

まず、例の部分のギターをメロディのアクセントに合わせてパンチインで弾き直します。そして、本題であるドラムをそれらに合わせて大きく打ち込み直しました。

ベースを除いて、一気にバンドらしい一体感が出てきたかと思います。

ドラムはタムも織り交ぜながら、適度に派手なドラムフレーズになるよう意識して作ってみました。これでサビ前半のスタンダードなリズムと対比した展開を作ることができたかと思います。

ギターのシンコペーションにキックを合わせる

サビ全体に視野を広げると、またしてもアクセント問題です。次はギターとドラムのキックです。

下の譜面における、8~9小節目と16~17小節目でギターとキックが噛み合っていないのです。(おさらい音源の12秒~、24秒~で確認できます)

jk_score_2

この部分をMIDIで確認してみると、このようになります。

jk_gt_midi_2_tx

(※すいません。画像の内容が思った以上に小さくなり、見づらくなってしまいました。拡大するなどして確認していただければと思います)

ここはそれほど強固にキメている部分ではないので、人によっては気にならない方もいるでしょう。しかし、揃っているほうがやはり一体感が生まれアンサンブルとして整ってくるので直しておきます。

作編曲に慣れていない方の作った作品は、こういったキックと他パートの関係性がおざなりになっていることが多いと感じるので、ほんの少し気をつけるだけで仕上がりに差が出てくると思います。

この場合も修正案としては2種類。

  1. ギターをドラムに合わせる
  2. ドラムをギターに合わせる

一応両方試してみた結果、「1」だとサビ全体を通してリズムがあまりにも一辺倒になるので「2」を採用してリズムに変化を与えていく方向でいきます。

jk_gt_midi_3_tx

キックを少しズラしただけという微々たる差ではありますが、楽器隊に一体感が出てきたのが感じられるでしょうか?(まだベースが遊んだままなんですけどね…)

適当にフィルインを入れる

あとはサビ全体を通して、要所要所にフィルイン等を入れました。

JKバンドっぽく、難しいフレーズになりすぎないようシンプルなフィルインを心がけてみました。

ドラムの調整はこんなところでしょうか。これだけでもかなり活き活きとしたサビになってきたかと思います。

ベースを作り込む

次はこれまでの流れに合わせて、ベースを練っていきます。

といっても、基本は既に打ち込んである8分のルート弾きでいこうと思っているので、ドラムほど大きく手を加える必要はないでしょう。

27秒~のリズム変化に合わせる

先に大きく変更した27秒~の数小節に手を付けます。すでにメロディ、ギター、ドラムの一体感は出来上がっているので、それらに合わせて調整していきます。

jk_bass_midi_2_tx

ベースがしっかりすると一気にメリハリが出てきますね。

ベースの場合、ベロシティよりも休符やゴーストノート、音価(音の長さ、デュレーション)を意識して打ち込みをしたほうが、生演奏っぽいノリに近づきます。

全体通してギターのバッキングに合わせる

サビ全体を通して、ギターのバッキングと同様に刻むようベースも調整します。既にシンコペーション部分などギターとドラムのリズム関係は調整してあるので、これだけでおのずとオケが綺麗に整ってきます。

jk_bass_midi_3_tx

ベースも適当にフィルインを

ドラム同様、ベースも要所にフィルイン(ベースの場合もそういうんですかね?)を入れて展開のきっかけを作ります。

jk_bass_midi_4_tx

もっと豪快にしようと思えばできるわけですが、無駄に動きすぎると曲のイメージからかけ離れていくだけなので、いろいろやりたい気持ちを抑えてほどほどにしています。

デュレーションを調整してみる

先にも言いましたが、ベースは音の長さでかなりノリが変わってきます。

下の画像のように1音1音の間に隙間を作る。すなわち、ほんの少し音を短くするだけでかなり印象が変わってくるのです。これは実際に聴いていただいたほうが早いでしょう。

jk_bass_midi_5

・デュレーション調整前

・デュレーション調整後

いかがでしょう?

このように少し短くすると粒立ちがよくなり、しっかりベースとして刻んでくれてる感じがしませんか?ただし、中途半端に短くしすぎると下手くそなベーシストが弾いたようになってしまうので注意が必要です。(ちなみに上の例では64分音符ぶんの隙間を空けています)

私はある程度ベースを作りこんだら、必ずこの作業を試してもっとも曲が輝くポイントを探ります。

今回に関しては、かなり細かく試してみたものの全く良い感じにならなかったのでデュレーションは一切いじらない方向で進めることにしました。この曲はロック色が強いので、きっちりとしたベースよりも、ルーズに弾いたベースのほうが相性が良いのでしょう。

しかし、ジャズやフュージョンのような几帳面にリズムを刻まなければいけないベースを作る場合には、かなり有効なテクニックになります。ちょっとしたTipsとして覚えておくとよいかもしれません。

メロディを見直す

ここでいま一度メロディを見直してみます。

少し気になったのが始めの数小節。「サビの尺が長めのくせに、初っ端から結構ハリキリすぎじゃね?」と…。ようするに、メロディでももう少し緩急やメリハリが欲しいかなと思ったわけです。

そんなわけで音程的にもう少し余裕のある感じに変更してみました。

こうすることで、後半のメロディがより印象的に感じられるようになるかと思います。(少なくとも、私はそう信じています)

キーボードパート(ピアノ)を追加

ここにきてやっとキーボードパートに手を付けていきます。

キーボード音色の候補としてはストリングス、ピアノ、パッド系シンセのどれかを考えていたのですが、最もしっくりきたのがピアノだったのでそれを使っていきます。

前回、コードの響きの確認用として簡単にピアノを入れましたが、今回はしっかりとしたピアノトラックとして制作するので、前よりも気合を入れて打ち込んでいきます。

音源は前に使用した「MiniGrand」をそのまま流用しようかと思ったのですが、いまいち音が抜けてこなかったので「Ivory2 GrandPianos」の「Studio C7(YMAHAをサンプリングしたやつ)」を採用しました。(画像ではBosendorferになってますが…)

Pf_ivory

私は一切鍵盤楽器が弾けないので、1~4小節ずつを繰り返しリアルタイム入力していきます。当然、無駄な音が鳴ったり打鍵ミスしたりしますが、それらは後から手動で修正します。

そして、仕上がったものが下のものになります。

jk_pf_midi_3

ギターが基本的にパワーコードを中心に弾いていて、3度や7度といったコードトーンを鳴らしていないので、ピアノではそういったコード感を補う方向で作っています。また、音程的にボーカルとギターの間にけっこう隙間があったので、それをある程度埋めることも意識しました。

そして、すでに入っているパートよりも必要以上に前に出ないようも注意しました。調子に乗って「あれも」「これも」とやっているとぐちゃぐちゃなアレンジになってしまいますからね。

そして、この段階で下のように数ヶ所コードを変更しました。

jk_score_2_tx

最後の「Dsus2」に関しては、特に狙ったわけではなく入力の際にミスったらたまたま良い響きになったので、そのまま採用しました。

こういった偶然の発見があるのもリアルタイム入力の良いところだと思います。

仮ギター録り直し&トラック追加

最後に仮ギターを改めて録り直しました。

コードも数ヶ所変更しましたし、ピアノが正式に入ってきたのでほんの少し重心が低くなるよう音作りしました。

また、裏メロ的な役割でリードギターも追加しました。これで当初考えていた楽器構成が全て出揃いましたね。

そして、今回出来上がった成果がこのような感じになります。

今後、多少変更する部分もあるかもしれませんが、サビだけはもう9割仕上がったと言ってよいでしょう。

今回のまとめ

今回はサビを念入りに仕上げていきました。

こういったJPOPな曲はサビの良し悪しが最重要事項だと思うので、1番自由に作れる初めの段階に仕上げてしまうのが私のやり方です。

これがAメロ、Bメロを作った後とかだと、繋がりを意識してしまって自由な発想ができなくなりますからね。繋ぎの調整をするなら、サビの範囲内ではなくその前後のセクションで調整したほうがサビのインパクトは保ちやすいと思います。

今回、別のことにかまけて更新が遅くなってしまいましたが、次は極力早く更新できるよう努めます。

次回はこれまでに出てきた各トラック(音源やエフェクト)の設定について触れてみようかと思います。

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