とあるボカロPがニコ動に作品を投稿するまでの全制作フローを徹底解説(5)

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ボカロ曲の制作過程全てを解説していく連載、第5回目です。

今回は、サビだけだった楽曲にAメロやBメロを足して、ワンコーラス出来上がった状態にまで作り上げていく予定だったのですが、文量がかなり長くなってしまったので2回に分けて解説していこうと思います。

さらに言うと、今回まだA、Bメロ制作にまで到達していません。

これまでの記事はこちらからどうぞ↓

第1回目:前置き&作曲下準備

第2回目:サビアウトライン制作

第3回目:サビブラッシュアップ

第4回目:各トラック設定解説

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おさらい

まず現状の音源を確認しておきましょう。

このサビから他のセクションに膨らませていきます。

基本的には第2回、第3回で紹介した内容を各セクションでも同じように行っていくだけです。重複する内容も多いので、ここからは細かい解説はほどほどに進めていきたいと思います。

トラブル発生

突然なのですが、制作中にとんでもないトラブルが発生しました。

制作の要であるDAWが使えなくなったのです。

私はいまだにWindows7を使用しており、ご覧の通りメインで使用しているDAWはProtoolsです。このProtools、実は既にWindows7のサポートを終了しておりWindows7でのバグフィックスはずいぶん前から行われないようになっていたのです。

それでも一応は使えていたのですが、2018年の暮れあたりのアップデートでついにWindows7にインストールすることすらできない仕様になってしまったようです。

そうとは知らず「なんか調子悪いから、最新版にでもしてみるか」と、ぎりぎりまだ使えていたバージョンのProtoolsをアンインストール。

その瞬間、私はDAW難民となってしまいました(笑)

現在、Avidから入手できるインストーラーでWindows7に対応しているものは、なんと「11」で2015年頃のProtoolsなのです。仕方ないので、PCを新調するまではこれでなんとかしようとするも、なぜか起動せず。

その問題を解決するのにずいぶん時間がかかりました。

幸いなことに、これまでのセッションデータは全て無事に開くことが出来たため、この連載も打ち切らずに済みました(笑)

こういった事情があり、DAW画面などこれまでと多少変わっている部分があるので、そのあたり承知のうえでご覧になっていただければと思います。

さて、長くなりましたが本題に入っていこうと思います!

サビ後の間奏を作る(間奏2)

まずはサビ後の間奏を仕上げていきます。

おさらいを聴くと分かる通り、サビを作っている段階から「こんな感じで間奏に繋げていきたいな」というイメージが浮かんでいたので、既にある程度は作っていました。なので、それをまず仕上げてしまいます。

現在のサビは「ワンコーラス目のサビ」を想定しており、この間奏を挟んで2番Aメロへと繋いでいくことを考慮して作っていきます。

あと「間奏」と言うと、今後たくさんの間奏が生まれてくるので、このセクションは「間奏”2″」としていきます。(間奏1は後に出てきます)

ドラム打ち込み

間奏2は付点8分のリズムでたたみ掛けるような感じに展開した後、ベーシックなリズムに戻ってAメロに突入というイメージで打ち込んでいます。

・間奏2_Dr

この間奏2については、ほぼイメージが固まった状態で浮かんできたので、一気にフィルインやキメなども打ち込んでしまいました。

仮ギター録音

これまでギターは後のほうに入れることが多かったですが、今回は先に手をつけてしまいます。

理由としては「この間奏でもっとも大きく聞こえる楽器は何か?」を考えたとき、出てきた答えがギターだったからです。要するに、このセクションにおいて特に重要な楽器であるということ。

そういったものを早いうちに入れてしまったほうが、完成形が見えやすくなるというメリットがあります。

・間奏2_Gt

ここではボーカルがいなくなるため、ギターやピアノはかなり自由な演奏ができるようになります。ですが、ここはオケ全体のリズムを主体にして主役となるメロディのないセクションにしたかったのでシンプルなパワーコードアプローチにしました。

ベース打ち込み

続いて、ベースを入れていきます。

・間奏2_Ba

jk_bass_midi_br2_tx

前半は8分音符のルート弾きではあるのですが、2小節またがって「3・3・3・3・4」音の区切りでアクセントが付くようなリズムになっていることがポイントです。

もしこの部分を普通のルート弾きのノリで打ち込むと他の楽器との一体感が無くなってしまいます。

ピアノ打ち込み

間奏2の最後はピアノです。

ピアノはこれまでと同様、コード感を出しつつオケにアタック感を加えるようなイメージで打ち込みます。

・間奏2_Pf

jk_pf_midi_br2

間奏2に関してはこのような感じで良いでしょう。

ちなみにコードはこのようになっています。非常にシンプルですね。

jk_score_br2

イントロ制作

間奏2ができたので、そこから繋ぐようにAメロ、Bメロと作っていこうと手を付けていたのですが、イマイチ納得のいくものができなかったので、やむなくイントロから手をつけることにしました。

参考なるかわかりませんが、没にしたA~Bメロを置いておきます。

・没A~Bメロ

これの没理由としては、展開が単調な気がするしメリハリが足りない。なにより、この曲のテーマ「JKバンド風な楽曲」ということに立ち返ったとき「これじゃない」感がものすごかったので完全に没にしました。

そんな間に、イントロのイメージがある程度頭の中でできつつあったので、そちらから作っていく方向に切り替えたのです。

サビを元にイントロを作成

ということで、イントロを作っていきます。

まず「この曲はサビ入りにしよう」と思ったので、既に出来上がっているサビのメロディをそのままコピペで複製しました。メロディ以外は大きく変更する予定なので、他は除外しています。

・Intro_melody1

そして、このままだとイントロ感が皆無なうえ尺が長すぎるので、適宜必要のない部分を消去し、切り貼りしながら「イントロのサビ」っぽくしていきます。

・Intro_melody2

jk_melody_midi_intro

イントロのメロディはこれでいきます。

徐々に楽器を増やし、盛り上げながら曲を加速させていくイメージのイントロをここから作っていきます。

導入はピアノアルペジオ

出だしはピアノが印象に残るようなアレンジにしようと思います。

イントロらしく、高音をメインに使ったアルペジオで入り、徐々にエネルギッシュな中音域も鳴らしていきながら、盛り上げていくイメージを作ります。

・Intro_Pf

jk_pf_midi_intro

これで少しはイメージが見えてきたでしょうか?

さらに楽器を追加して、アレンジしていきます。

ドラムでギアを入れるタイミングを明確化

こういったイントロにする場合に重要なのが「どこからギアを入れていくか?(どこから盛り上げていくのか?)」です。それによってかなり曲の印象が変わってきます。

特にドラムが入ってくると一気に曲が前に進もうとするので、ドラムの展開次第で盛り上がり方の印象が大きく変わるのです。(他楽器でもある程度コントロールできますが…)

そういったことを念頭に置きつつ、このような感じでドラムを打ち込んでみました。

・Intro_Dr

jk_drum_midi_intro_tx

これで具体的にどこからギアを入れていくのかが明確になったかと思います。

これらを元にベースとギターを入れて、曲の加速感をさらに高めていきます。

ベースでさらに加速させる

低音域を担うベースもかなり曲を前進させる力が強いので、どこから鳴らし始めるのか?音は刻むのか?伸ばすのか?といったことが重要になってきます。

また、ドラムよりもベースが入ってきたときのほうが「はじまった!」感が強くなるので、そのあたりを吟味しながら打ち込みます。

・Intro_Ba

jk_bass_midi_intro_tx

これでかなりイントロ感が出来上がってきたかと思います。

ギターで派手さを演出

最後に、これまで作ってきた加速感に合わせてギターを入れます。

・Intro_Gt

これでイントロは出来上がりました。

元はサビと一緒だったわけですが、このような感じでアレンジに捻りを加えるとイントロに転用することも出来るのです。

イントロ後の間奏制作(間奏1)

先ほど出来たイントロから続くように、Aメロへと繋ぐ間奏を作ります。これが先ほど少しお話した「間奏1」になります。

この間奏1もイントロと同様、サビのコード進行等を拝借して、間奏1用にアレンジして制作していこうと思います。

サビのメロディ以外をコピペ

イントロ同様、サビの一部をコピペします。

このセクションにボーカルは必要ないので、今回はメロディを除外します。また、リードギターも全く別のものに置きかえるつもりなので、それも除外しています。

・間奏1_Oke1

尺、小節数としてはこれくらいを想定して、少しずつ変化を加えていきます。

変化をつける部分を消去

このままのコード進行だとAメロにうまく繋がらないので、途中から変化を付けていきます。「ここから変化を付けていこう」と思った部分以降を全て消去しました。

・間奏1_Oke2

jk_oke_midi_brige1_tx

この先を違う展開にして、うまくAメロに繋がるようにアレンジしていきます。

消去した部分のコード進行を決める

どういった展開にしてAメロに繋ぐか、まだイメージが固まっていなかったので、とりあえずコード進行を先に決めてしまいました。

なので、以前に使ったコード確認用の仮ピアノを簡単に打ち込んでいきます。

Aメロは「D」コードから開始しようと思っているので、そこにうまく繋がるような流れを作りました。

・間奏1_Chord

jk_kari_midi_brige1_tx

この状態だといきなり過ぎてびっくりするかもしれませんが、これからちゃんと繋がるようにしていきます。

具体的なコードはこのような感じです。

jk_score_br1_tx

ギターでイメージをカタチにする

コードが決まったらかなりイメージが固まってきたので、バッキングギターを弾いてキメのリズム等もまとめてカタチにしてみました。

・間奏1_Gt

まだいきなりでびっくりするかもですが、少しはAメロへの繋がり方が見えてきたのではないでしょうか?

仮ピアノはもう必要ないので、この時点でミュートしています。

他の楽器も追加

先ほど弾いたギターに合わせて、他の楽器も打ち込んでいきます。

・間奏1_Dr

・間奏1_Ba

・間奏1_Pf

これで無事Aメロへと繋げることが出来たかと思います。

サビメロディをアレンジしたリードギター

最後にリードギターを入れます。

ここではサビのメロディをアレンジして、また違った雰囲気になるようなメロディをリードギターとして弾いていきます。

・間奏1_LeadGt

まだかっこよくバチっと弾けていないですが、仮なのでこんなもので良いでしょう。

間奏1はこれでOKかと思います。

まとめ

本当は今回でワンコーラス仕上げてしまいたかったのですが、思いのほか長くなってしまったので、ここで一区切り入れようと思います。

間奏2以外は、はじめに作ったサビをコピペして制作しましたが、それぞれ結構違って聴こえるかなと思います。このようにうまくモチーフを使いまわすと、楽曲の統一感と一貫性が自然と出てきます。

なにより、作業の負担が激減するので私はよくやります(笑)

「こんなの手抜きだ!」とも言われそうですが、うまく作業を減らすことも重要です。人間の集中力やモチベーションはそう長くは続かないものですから。

次回こそはAメロ、Bメロの制作に突入します。

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