ボカロ曲の制作過程全てを解説していく連載記事、第7回目。
毎度更新が遅くてスイマセン。
前回でワンコーラスが出来上がりましたので、今回でこれをフルコーラスにしていきます。
また、前回から制作環境が大きく変わったのでそのあたりについても軽く触れておこうかと思います。
これまでの記事はこちらから↓
おさらい
まず前回までの成果物を確認しておきましょう。
このメイキング記事を書き出してからもう半年以上経っているのに、まだこれだけした出来上がっていないのは冷静に考えてヤバイですね(笑)
正直、当初思い描いていた楽曲のイメージは欠片も覚えちゃいない(『はじける青春!JKバンドが文化祭で演奏したくなるボカロ楽曲!』ってなやねん!)状態なんですが、それでも完成させなければどうにもならないでやっていきます。
1つの作品をこれだけダラダラと作るのは完全に悪例ですので、皆さんはこうならないよう気を付けてくだいさいね。
制作環境を一新
冒頭でも少し触れましたが、前回から大きく制作環境が変わりました。具体的にはPCを新しくしました。
第5回目の記事にて詳しめ話していますが、旧PCでは現行のProtoolsが使えない等いろいろと不都合が出てきたので、このタイミングで新しくしました。
そして新PCにプラグイン等をインストールする際、ついでに最新版へとアップデートしたものも多く、これまでに登場したプラグインの一部が新しいものにすり替わっていたりします。
その結果、前回から少々音色が変わっているパートがあります。それら全てに触れていくとキリがないので「なんか変わった?」と思ったところはアップデートの影響と考えてください。(ちなみに最も大きな変更があったのはベースアンプのトラックです)
それでは本題に入っていきます。
とりあえずコピペで2番を作る
一般的なポップス曲の2番は、少し言い方が悪いかもしれませんが1番のマイナーチェンジ版であることがほとんどです。ものによってはまったく同じなんてことも少なくありません。なので、とりあえず1番のAメロ~サビまでをすべてコピペしてしまいます。
そこから「ここは2番っぽくないよな」という部分を変化させていきます。
A2
それではA2からいじっていきます。
まずはそのままコピペした音源を聴いてみましょう。
・A2-Before
明らかに2番っぽくないですよね?(笑)しかもかなり不自然で論外です。
前のセクションでかなり勢いに乗って、このA2に突入しているのにその勢いを完全に遮ってしまっています。そのあたりの帳尻を合わせつつ2番っぽくしていきます。
※これ以降ギタートラックのみは全て後回しにして、後にまとめてRecします。
修正後がこちらです。
・A2-After
大きく変わったのは冒頭のドラムとベースです。(2番以降のギターは後にまとめて作ります)
下のようにドラムは普通の8ビートにして、ベースに関しては音を伸ばさずオーソドックスに刻むようにしました。特にひねったことをしたわけではないですが、かなり2番っぽい展開になったのではないでしょうか?
・ドラム
↓
・ベース
↓
1番でブレイクとなっていた部分は大げさにしないことで差別化を図っています。その部分においてはベースやピアノの手数をほんの少し増やして隙間を埋めています。
・ピアノ
次に大きく変更したのはA2の終わり、B2への繋ぎ部分のピアノです。
1番と同じでも特に違和感はないですが、ここのピアノ下降フレーズは結構目立つので全く同じだと、聴いていて少しガッカリ感が残ります。なので、ただの下降フレーズであったものを途中から上昇フレーズへと切り替えて雰囲気を変えてみました。
あと、ちゃっかりですが間奏2~A2への繋ぎ部分も手を加えています。元のままだと繋がりが不自然だったため、それを解消するように修正しました。
B2
続いてはB2に移ります。
変更前はこのような感じ。
※書き出しの際、なぜかピアノのサステインが反映されていなかったため少し変になっています
・B2-Before
こちらも2番らしく変化を付けて下のような感じにしてみました。
・B2-After
まずA2の最後を上昇フレーズに変更したことでB2冒頭のコードとの距離が離れ、恐らくですがこのままだとフレーズ的に難しいと思います。
なので、冒頭ピアノのコードボイシングを変更し、移動距離が短くなるようにしました。
(それともピアニストにとってはこれくらいの移動は問題ないのでしょうかね?)
そして最もわかりやすい変化を加えたのが最後の数小節。
このあたりを聴くリスナーは「あぁ、次のサビがくるな」と無意識に予想します。なんせ1番を経ているので次の展開がある程度わかってしまうから。そのあたりがリスナーの予想通りすぎると面白くなくなってます。
それを避けるため、ベースとドラムの刻みを唐突に止めて一瞬ふわっと緩急をつけることで意表を突くことにしました。(グダグダと説明してみましたが、まぁよくあるアプローチです)
・ドラム
・ベース
・ピアノ
実のところ、もっと大げさに音数を減らして”オチ”を作りたかったのが本音なのですが、どうも上手くいかなかったのでこの程度でとどめました。
サビ2
サビに関しては細かい変更点はありません。
唯一の変更点は後半部分をすべてカットしたことです。
・C2
2番のサビはここで終わらせます。
なぜかというと、カットした後半部分は曲中でも特にアクが強い部分で、あまりたくさんやりすぎるとこれまた飽きるなと感じたからです。
またこの後には大サビもあるわけで、そこで劇的に聴かせるために2番では温存しておいたほうが何かと都合がよいと思います。
さらにはここで唐突に展開を変えると、これまたリスナーの意表を突くことができます。このあたりも、かなり大胆な変化がないと飽きがくるポイントなので手を打っておくべきでしょう。
これでとりあえずコピペしたぶんの処理が終了しました。
大体のCメロを作る
次はCメロを作ります。
ここからはとにかく曲のアウトロまでの全体像を先に作ってしましたいので、かなり雑に作ります。細かいところは全体像が出来上がってから手を付けていく予定です。
サビのドラムをコピペ
Cメロのテンション感は、サビとほぼ同等かそれよりちょっとテンション高めな感じをイメージしているので、サビのリズムパターンをそのままコピペさせます。
メロディを入れる
次はメロディです。
このあたりのメロデイを考えるときは、いつも感覚まかせです(笑)とにかくそれっぽくなるまでトライ&エラー。
適当にコードを入れる
仮打ち用のピアノでメロディに合わせて適当なコードを入れていきます。
響きが少し気になる部分が残っていますが、Cメロはこれくらいにして次のセクションへと進んでいきます。
間奏3(ギターソロ)部分を雑に作る
間奏3を作っていきます。ここはバンドものっぽくギターソロで攻めることを想定して作っていきます。
私の場合、ある程度のコードが決まっていないとソロはとりにくいので、またしてもドラムを適当な尺でコピペして、仮打ち用のピアノでコードを入れます。
ここにきて自分でもよくわからない方向に転調させてみました。
先にも何度か触れましたが、このあたりのセクションはかなり大胆な展開がないと飽きがきやすいのです。なのでわかりやすく雰囲気が変わる転調を駆使してみました。
ただ理論的に考えたわけでなく、ものすごい適当かつ無理やりに転調させただけなので繋がりに違和感がある方が多いかもしれませんね。
このセクションのメインであるギターソロは後々じっくり弾くつもりなので、これくらいで次へと移ります。(ギターソロを考え出すとギタリストスイッチが入って、ついつい弾きまくってしまうので…)
落ちサビと大サビを
次は落ちサビ、そして大サビへと展開していきます。
こちらは元となるデータがあるので、それっぽくコピペでつないでしまいます。
間奏3(ギターソロ)が最終的にCで終止しているので、落ちサビはそれを引き継いでKey=Cにしてみました。元がKey=Dなのですべての音が1音下げになってるわけですね。
こういった転調を駆使すると簡単に”落ちサビ感”が作れるので便利です。
そして、落ちサビ感がさらに出るようドラムのスネアやらハイハットを消し、ベースは刻まないようにしました。後にもっと手を加えますが、これでもかなり落ちサビ感が出てきたかと思います。
そして、最後の大サビで元のKey=Dに戻します。
中身はこれまでのサビと同じわけですが、この”転調する”という動きがあることで大サビ感を演出しています。
アウトロはサビと間奏1から拝借
曲の最後であるアウトロに進みます。
初めに考えていたのは、間奏1をそのままつないでフィニッシュ!といきたかったのですが、いざやってみるとかなりあっけなく終わってしまう感じだったので、サビの前半を少し拝借して尺をのばしました。
最近のヒット曲のアウトロはずいぶんすっきりとしていたり、そもそもアウトロが無かったりすることもあるので、間奏1をもってくるだけでも良いのかもしれません。ただ、個人的にアウトロはしっかりとしているほうが好きなので、こういった形にしてみました。(思ったより曲長が長くなってしまいましたが…)
※またしてもピアノのサステインがバグってしまいました
フィニッシュ直前を数小節ほど伸ばし、ブレイク部分的ではテンポ(BPM)を調整することで、それっぽい”溜め”を作ってみました。
こうすることでバンドが息を合わせているような雰囲気を作れたかと思います。
まとめ
フルコーラスの全体像がようやく出来上がりましたね。
2番は1番の繰り返しとなるような部分が多いので、かなり大胆にコピペしました。ただ、2番としてのイメージをしっかり持って部分的に作り直してやれば、コピペ臭はかなり軽減されるかと思います。
そして、まだ手を付けていませんが2番以降のギターフレーズも部分的に1番とは違うものにすることを想定していますので、これからさらに変化が増してくるかと思います。
Cメロなどの全く新しいセクションに関しては、作曲開始段階の手順とほぼ一緒です。大体のイメージでよいので全体像を先に作り、細かいところは後で手を付ける。なので、Cメロ以降の雑なところに関しては次回で仕上げていきますよ。
編曲作業の終わりがようやく見えてきましたね。(投稿までにはまだまだ遠いですが…)
次回で編曲や打ち込みが完了するくらいまでは進みたいですな。