メイキング記事、第9回目です。
長かった作編曲作業がようやく終わり、次の段階へと進んでいきます。
これまでは飽きるくらいProtoolsの画面ばかり見てきましたが、今回からは『VOCALOID Editer』を使っての作業に移行していくので、少しは新しい感じになるのではと思います。
これまでの記事はこちらから↓
進捗状況
作曲下準備作曲編曲レコーディング(Gtのみ)- 作詞←(いまここ)
- ボカロ調声←(同時進行)
- ミックス
- マスタリング
- 投稿用動画制作
- ニコ動へ投稿
第3回目ぶりに出てきた進捗表ですね。
長かった「2」「3」「4」が終わり、次は「5」「6」の作詞とボカロ調声を進めていきます。
ボカロ調声データ作成
まずはVOCALOID Editerで作業するためのvsqxデータを作成しておきます。
ちなみにですが、使用するのは『VOCALOID4 Editer』です。既に次期バージョンの『VOCALOID5 Editer』がリリースされていますが、まだ購入していないのです。
5ではすいぶん仕様が変わったようなので、5ユーザーにとって参考になる部分は少ないかも知れません。そのあたり注意してご覧ください。
また使用するボカロは『初音ミクV3』と、これまた旧式なので注意してくださいね。
ボカロ用にMIDI微調整
前回までずっとシンセメロだったトラックのMIDIデータを抜き出し、VOCALOID Editerへと流し込みます。
しかし、現状打ち込んでいるMIDIだとうまく歌ってくれないことはわかりきっているので、ボカロ流し込み用にDAW上で少し修正しておきます。
上画像のようにノートがぶつ切れになったままボカロに転用すると不自然な歌い方をしてしまうので、あらかじめ不自然になるとわかる部分は修正しておきます。(もちろんブレス部分は繋げませんよ)
VOCALOID Editerへ流し込み
修正が終わったらVOCALOID Editerを立ち上げてMIDIデータを流し込みます。
オケもあらかじめwavファイルで書き出しておき貼り付けます。
また今回の曲の場合、途中で少しテンポや拍子を操作しているので、その位置と数値を厳密に揃えておかないとオケとボカロの歌唱がズレてしまいます。なので、うまく同期するよう注意して設定します。
そして以下は、私が個人的に行っている初期設定です。
- オートビブラートをOFF
- 「DYN」を100に
まず「プリファレンス」からオートビブラートをOFFにしておきます。これがONだと、一定以上音価があるノートには自動でビブラートがかかるようになります。(ちなみにインストール直後の設定ではONになっています)
オートビブラートをOFFにする理由は、私が「全く装飾のない状態から調声したい」性分だからです。
ボカロに限らず人間の歌唱でも同じなのですが、でたらめな歌唱でもビブラートがかかっていると”うまく聞こえがちになる”ものです。しかし、そういった誤魔化しのテクニックに頼っていると往々にして良い結果には繋がらないと思っているので、音程を全く揺らさない状態でどれだけ上手く聞かせられるかをはじめに突き詰めておきたいのです。
実際、超絶に歌が上手い人はビブラートなんか使わなくてもすごいですからね。(というか、人間の場合ビブラートを意識的に排除して歌える時点で超上手い証拠ですが)
実を言うと最終的にはほぼすべての音にビブラートをかけることにはなるんです(詳細は後日解説します)が、それがない状態でも上手く聞こえるようにしたほうが応用が利くと思うのです。
そして次の個人的な設定は「DYN」の値を100に固定することです。
これは途中でクリップしない限りはずっと固定で通します。
初期値は「64」に設定されていますが、これではそもそも音量が小さいです。音量というより声量といったほうが的確かもしれませんね。「DYN=64」だとミキサー画面でメータを確認してもピークが点くまで無駄に余裕があると思います。
これを100に設定すると良い感じのレベルに収まるはずです。(歌詞やフレーズによってはピーク超えますが…)
数値を固定にしてしまうのは、後のミックスで使うであろうコンプを1つ減らすためです。下手にダイナミクスをつけるとどうしてもコンプが必要になってきますからね。
少なくとも、この曲の歌唱に大それたダイナミクスは必要ないでしょう。(せいぜい落ちサビで抑えるくらいでしょうか?)
それに「DYN」をいじらなくても、ある程度の抑揚は他のパラメーターで補えるので問題ありません。
ということで、これらを設定した初期段階での歌唱を聴いてみましょう。(ワンコーラスのみ、コーラスはミュートしています)
現状なんとも面白味がないですが、ここからしっかり肉付けしていきます。
あと言い忘れていましたが、私はロボティックな調声よりもリアル志向の調声のほうが得意なのでそちらを目指していきます。(私の作風ではロボティックな調声は合わないことが多いのです)
作詞(第1稿目)
「さぁ、これから調声していくぞ」といきたいところですが、先の音源を聴いた通り歌詞がないと話になりません。
全編「あーあー」と歌う曲を目指すならいいですが、そうはいかないでしょう。
ということで、作詞(第1稿目)を始めていきます。
正直、作詞の解説は脳内妄想の内容を垂れ流すようなものに近いのでかなり恥ずかしいですが、なんとかやっていきます。
下準備
いきなり「歌詞書くぞ」と言って、迷わず書き出せる人はまずいないと思います。少なくとも私はそうです。
作曲段階では下準備を行いましたが、作詞でも同じようことを行います。
そこでまずはアイデアを出すと同時に、その曲で使用できるであろう語句をかき集めるべく「一人連想ゲーム」を行います。
とある語句から連想するほかの言葉をひたすら書き出すのです。
例えば
「リンゴ→赤→信号機→交差点→車」
みたいな感じ。
連想を開始する最初の言葉はその時の思い付きだったりと様々ですが、今回の曲には制作開始時に『はじける青春!JKバンドが文化祭で演奏したくなるボカロ楽曲!』というテーマを定めているので、ここから開始しましょう。(というか、歌詞くらいテーマに沿っておかないと収拾がつかない)
上のテーマから『青春』『JK(女子高生)』というキーワードを抜き出し、この2つから連想する言葉を書き出してみました。
そして以下が出てきた語句の一部です。
制服、セーラー服、ブレザー、プリーツスカート、ギャル、清楚、黒髪、タピオカ、プリクラ、ネイルアート、女子会、友達、ずっ友、親友、恋人、彼氏、彼女、デート、恋愛、告白、片想い、両想い、三角関係、三角関数、勉強、授業、教室、昼休み、放課後、登下校、宿題、夏休み、海、プール、水着、花火、スマホ、電話、ライン、メール、着信、発信、着信履歴、メッセージ
どことなくそれっぽい言葉が出てきたかと思います。(実際にはもっと他愛ないワードがたくさんあります)
これらの言葉をうまく使えばなんか書けそうな感じがしてきませんか?
私の場合、上記の中から『片想い』『放課後』『登下校』に注目して『主人公の女の子が片想い中の男の子と偶然一緒に帰ることになった』的なストーリーを思いついたので、それに沿って書いてみようと方向性を固めました。
年齢問わず恋する女性は可愛いし美しいものです。そういったものが感じられる歌詞を目指したいものですね。
1番
方向性が固まったので、作曲の時と同じくまずは曲の1番に集中していきます。
なんなら1番で完結するくらいの勢いで考えます。そうすれば、おのずと無駄な言葉を省くよう意識できるので文字数に制限があってもイメージを伝えやすくなると思います。
準備で書き出した語句も適宜見返しつつ、今回は物語性のある感じで考えてみました。
-A1-
水溜りに映る入道雲
眩しい日差しに夏が始まろうとしてる
2度目の夏服に袖通して
「今年こそは」なんて張りきってみたりして
-B1-
横目に眺める 君のその仕草を
いつも通りの日々に呆れちゃうけど
放課後滑り込みのチャンス
「一緒に帰ろうよ」
-サビ1-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
手を振り 別れた帰り道
明日また出会える 保証なんてどこにもないけど
いいよね?
少し浮かれていても
友達に話したら 笑うだろうな きっと
緩んだ顔 隠すように下向いて 走った
これが1番の初稿になります。
イントロはどう切り出すか悩ましいので、全体像が出来上がってきたら考えようとあえて残しています。
さて内容に関してですが、「偶然好きな男の子と一緒に帰ることになって、『もしかしたら明日も一緒かも?』とテンション爆上がりになっている女の子」のイメージを思いついたので、女の子目線でその情景をサビに落とし込んでみました。
また、実際に自分で歌ってみてメロディと言葉の乗り方、ハマり方に違和感がないかにも注意しています。というか、私の場合は歌詞の内容よりもこの「メロと言葉の乗り方、ハマり方」のほうに重きを置いていたりします。
サビ歌い出しの「明日へと馳せる」や「いいよね?」の部分なんかは、なかなか良いハマり方をしていると思います。そういった個所は2番でも同じような母音構成、似た言いまわしを使って統一感を出すとそれっぽくなってきます。
次はAメロですが、このAメロを考えるときに季節設定を夏に決定しました。
理由はかき集めた語句の中に『夏休み』があったのと、制作現時点が夏真っ盛りだからですね。
そして、主人公の女の子の設定として「結構前から片想いしている」ということを付けたし、それが垣間見れるようなフレーズを考えてみました。
「2度目の夏服」ということは2年生で、「今年こそは」ということは去年の夏は残念な感じで終わった、すなわち1年以上前から片思いしているということなのでしょうね。
Bメロに関しては、少し苦労しました。
なんせサビで片想いの男の子と帰らせなきゃいけないわけで、そこへ違和感なく繋がるようにしないといけないのです。それでいてAメロ、サビと比べて文字制限が厳しいので、回りくどいことはできません。
そんなわけで、とりあえず片想いの男の子を登場させ無理やり主人公の女の子に誘わせました(笑)
上手い人ならもっとスマートにやるんでしょうが、私にはこれが精一杯です。
2番
1番が大体できたので、次は2番へと視野を広げます。
先のワンコーラスでエピソード一つが完結した感じになっているかと思います。なので、2番以降はそのエピソードを補足するようなエピソードを描いてみたり、後日談を描いてみたりといった手法がとれそうです。
当初の想定では片想いの男の子に焦点を当てて2番は展開してみようかと思ったのですが、どうもうまく整合性が取れなかったので、その後のエピソードを展開する方向で考えていきました。
-A2-
机に置いたスマホ眺めて
ラインくらい交換しといたほうがよかったかな?
二度とないチャンスだったのかも
片想うぶんだけ焦りばかり募る
-B2-
すれ違う廊下で いつも距離を感じる
去年は同じクラスだったのに
もう夏休みラストチャンス
もう後は無いから
-サビ2-
明日へと賭ける 日々はもう終わりにしたいの
あの日の 勇気またください
偶然じゃなくさ 当たり前に誘いたいよ
いいよね?
それくらい求めても
以上が2番の初稿になります。
1番ではダイナミックに「帰ろうよ」とか誘っている主人公ですが、もともとは奥手でその時はたまたま大胆に誘えたという設定にし、夏休みまで音沙汰なしで悶々としている感じで展開にしてみました。
また、もう少しハードルを上げるためにクラスが違う設定にして物理的に距離を離しました。(悪いな、主人公よ)
同時に「今年の夏休みは男の子と一緒に満喫したい」という具体的な願望をもっていることも付け足してみました。主人公の女の子の目的が明確でないと、先の展開が考えにくかったのです。
そして、先にも少し話しましたが1番で良い感じにメロディに乗っけられたフレーズや言いまわしを2番以降積極的に使っています。(サビの「明日へと賭ける」や「いいよね?」など)
1番の同じ部分と比較するとわかりやすいと思いますが、これらすべて母音構成が同じだったり同じ言葉を意図的に入れています。「いいよね?」なんかは寸分違わず同じですよね。
こうすることでメロディに対する言葉の乗り方がある程度保障されるうえ、なんとなく「曲の歌詞」っぽい感じがしてきませんか?
Cメロ~ラスト
次はCメロへと進めます。
2番を考えていた時点で「ここはストレートに女の子の願望を書こう」と決めていたので、それで進めました。
そして、落ちサビと最後のサビは1番2番のサビをアレンジして、少し印象が変わるようにする方向で考えてみました。
-C-
近場でも海とか 花火とか見たいよ
他でもない君の隣で一緒に
夢の 夢のままで終わらせたくない
だからもう決めたの
-サビ3(落ちサビ)-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
真夏のこじらせ片想い
明日また出会える 保証なんてどこにもないから
いいよね?
なりふり構わなくても
-サビ4-
明日へと賭ける 日々はもう終わりにしたいの
あの日の勇気またください
偶然じゃなくてさ 当たり前に誘いたいよ
いいよね?
もっと近くにいっても
友達に話したら 「応援してるよ」だって
終業ベル 合図に全力で 走った
ここでも下準備時に書き出したワードをたくさん入れています。
サビ3、4はほとんど使いまわしですが、部分的に言葉を変えることで女の子の気持ちの微妙な変化であったり、周囲の状況が以前と変わっている感じが出るようにしています。
ここで特筆すべきなのは、サビ3で「真夏のこじらせ片想い」という俯瞰的なフレーズを思いつけたことです。
作詞の段階にもなると曲名にも思考を巡らせることになるのですが、正直かなり困っていたのです。このフレーズなら歌詞全体をうまいこと総括できると思うので、曲名の第一候補としてめでたく決定しました。
ほかに「これだ!」と思うものが出てこない限り、これがそのまま曲名になることでしょう。(正直、他に思いつかない)
そして、ことの顛末(うまく男の子にアタックできたのかどうか?)はリスナーの想像にお任せするスタイルで終わらせてみました。理由は、顛末を描くまでのスペースがなかったからです(笑)
まぁ、はじめから主人公の女の子が恋愛で一喜一憂する姿そのものに焦点を当てることを意識していたので、告白できようができまいが、恋人になろうがなれなかろうが、割とどうでもよかったというのもあるのですがね…。(悪いな、主人公よ)
作詞(第2稿目)
これでイントロを除いたフルコーラスの第1稿目が出来上がったので、次は全体を俯瞰して改めて細かい部分をチェックして適宜微調整していきます。
もっとハマりの良い言葉が他にないかを探ってみたり、倒置法にしたほうが歌いやすくならないかと探ってみたり、今回はストーリー性がある歌詞なので話に変な矛盾点がないか等、いろいろと確認していきます。
個人的に、作詞はこの第2稿目からが本当の勝負だと思っています。
1番
まず1番で変更した点を挙げていきます。
-A1-
水溜りに映る入道雲
眩しい日差し
に夏が始まろうとしてる
2度目(3度目)の夏服に袖通して「今年こそは」なんて張りきってみたりして
-B1-
横目に
眺める(見つめる) 君のその仕草をいつも通りの日々に呆れちゃうけど
放課後滑り込みのチャンス(放課後間際のビックチャンス)「一緒に帰ろうよ」
-サビ1-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
手を振り(「またね」と) 別れた帰り道明日また
出会える(話せる) 保証なんてどこにもないけどいいよね?
少し浮かれていても
友達に話したら
笑うだろうな(笑われるよね) きっと緩んだ顔 隠すように下向いて 走った
まずAメロで不要な助詞を消しました。なんでこんな助詞を入れていたのか謎です。
そして「2度目の夏服」を「3度目」にしました。
この理由は単純で、2度目の夏服すなわち2年生だとすると「来年もチャンスあるじゃん」ということです。もっと切羽詰まった状況にしたほうが話としては面白いし劇的ですよね?(どんどん主人公を追い込んでいってますが…)
Bメロの「眺める」→「見つめる」の変更は、はじめ1番を考えているときは同じクラスであること仮定していて、授業中とかに眺めているイメージだったのです。ですが、2番を考えているときに「クラス別にしたほうが都合良いや」と進めたので、その微調整みたいなものです。違うクラスの人を「眺める」というのは少しおかしいですよね?
「放課後滑り込みのチャンス」→「放課後間際のビックチャンス」は、こちらのほうが音のハマりが良いなと思ったので変更です。
サビの「手を振り」の変更は、「またね」と言わしておいたほうが、その後しばらく音沙汰がない状況への焦燥感が際立つと思ったからです。あと、二人の心的な距離がそこまで離れていない感じを出す狙いもあったりします。(作者的には一応くっつけてあげたいなとは思っているのですよ)
「出会える」→「話せる」の変更は、同じ学校に通ってるのなら顔を合せるハードルはそこまで高くないよな、という考えから少し難易度の高い設定にしました。
「笑うだろうな」→「笑われるよね」は上の「放課後~」の箇所と同じく音のハマり問題による修正です。
2番
-A2-
机に置いたスマホ眺めて
ラインくらい交換しといたほうがよかったかな?(番号くらい交換しときゃよかったかな?)
二度とないチャンスだったのかも
片想うぶんだけ
焦りばかり募る(募っていく焦りが)
-B2-
すれ違う廊下で いつも距離を感じる
去年は同じクラスだったのに
もう夏休みラストチャンス
もう後は無いから
-サビ2-
明日へと賭ける 日々はもう終わりにしたいの
あの日の 勇気またください
偶然じゃなくさ 当たり前に誘いたいよ
いいよね?
それくらい求めても(それくらい願ってみても)
2番での変更点はこのような感じです。1番に比べると少ないですね。
Aメロの「ラインくらい~」のくだりの変更は、流行り廃れのあるテクノロジー系の言葉をどこまで許容するかの問題で変更することにしました。
今現在でいえば連絡のやり取りで、あの「LINE」を利用している人は多いと思います。しかし、こういったものは非常に流動性が高いので、下手したら来年にはその存在が消えてる可能性もあるわけです。今聴いてそのイメージが掴めても、数年後に聴いたときにそのイメージが掴みづらい言葉や廃れてしまう可能性があるものを登場させるのは少し注意が必要なのです。
そのため「ライン」→「番号」に変えてほんの少しだけ普遍性を維持してみました。(まぁ、電話番号という概念もいずれ無くなりそうですけどね)
その点でいえば「スマホ」も同じなのですが、こちらはなんとなく許容範囲かなと個人的に思ったのでそのままにしています。
「焦りばかり~」のくだりは単純な倒置法です。こうしたほうがなんとなく歌いやすいかなと思います。
サビラストの1節はもともと気に入ってなかったので修正です。もっとも、修正後のフレーズもあまり気に入っていないのですが、修正前よりは音の乗り方が良くなったと思うのでこちらで進めます。
Cメロ~ラスト
-C-
近場でも海とか 花火とか見たいよ
他でもない君の隣で一緒に
夢の 夢のままで終わらせたくない(このまま このままで終わりたくないから)
だからもう決めたの
-サビ3(落ちサビ)-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
真夏のこじらせ片想い
明日また出会える 保証なんてどこにもないから
いいよね?
なりふり構わなくても(少し強引にでも)
-サビ4-
明日へと賭ける 日々はもう終わりにしたいの
あの日の勇気またください
偶然じゃなくてさ 当たり前に誘いたい
よ(の)いいよね?
もっと近くにいっても
友達に話したら 「応援してるよ」だって
終業ベル 合図に全力で 走った
Cメロ~の変更点はこのような感じです。
ここでの変更点は「主人公にもっと必死な感じを出させる」ことを目的にしているのがほとんどです。サビ4の「誘いたいよ」→「誘いたいの」の変更なんかは1文字しか変えていませんが、後者のほうが願望が滲み出てる感じがするのではないでしょうか?
また、それぞれ音のハマりが良くなるようにも意識しています。
イントロ
最後に残していたイントロを考えます。
イントロは曲のファーストインプレッションとなる部分です。それも、この曲の場合はサビのメロディ入りなのでかなり大胆に攻めたいなと考えていたのですが、ここに来るまで良い案が浮かばず、絞り出すようにして書きました。
-イントロ-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
いいよね?
少し期待してても
始めの「明日へと~」のくだりは第1稿を考えている時点から決めていたのですが、その後に続くイントロらしいフレーズが思いつかず、結局は時間軸としてサビ1直後くらいの女の子の心情を書くことにしました。
本当はもっとガツンとくるフレーズが欲しいところなのですが、これが私の作詞力の限界ということのでしょう。無念ですが、これで先に進めます。
まぁ、歌詞の変更は後からでも比較的簡単にできるので、進めながらギリギリまで考えてみましょう。
というわけで、フルコーラスでこのような感じに仕上がりました。
-イントロ-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
いいよね?
少し期待してても
-A1-
水溜りに映る入道雲
眩しい日差し夏が始まろうとしてる
3度目の夏服に袖通して
「今年こそは」なんて張りきってみたりして
-B1-
横目に見つめる 君のその仕草を
いつも通りの日々に呆れちゃうけど
放課後間際のビックチャンス
「一緒に帰ろうよ」
-サビ1-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
「またね」と 別れた帰り道
明日また話せる 保証なんてどこにもないけど
いいよね?
少し浮かれていても
友達に話したら 笑われるよね きっと
緩んだ顔 隠すように下向いて 走った
-A2-
机に置いたスマホ眺めて
番号くらい交換しときゃよかったかな?
二度とないチャンスだったのかも
片想うぶんだけ募っていく焦りが
-B2-
すれ違う廊下で いつも距離を感じる
去年は同じクラスだったのに
もう夏休みラストチャンス
もう後は無いから
-サビ2-
明日へと賭ける 日々はもう終わりにしたいの
あの日の 勇気またください
偶然じゃなくさ 当たり前に誘いたいよ
いいよね?
それくらい願ってみても
-C-
近場でも海とか 花火とか見たいよ
他でもない君の隣で一緒に
このまま このままで終わりたくないから
だからもう決めたの
-サビ3(落ちサビ)-
明日へと馳せる 想いはもう抑えきれない
真夏のこじらせ片想い
明日また出会える 保証なんてどこにもないから
いいよね?
少し強引にでも
-サビ4-
明日へと賭ける 日々はもう終わりにしたいの
あの日の 勇気またください
偶然じゃなくてさ 当たり前に誘いたいの
いいよね?
もっと近くにいっても
友達に話したら 「応援してるよ」だって
終業ベル 合図に全力で 走った
ボカロに歌詞流し込み
歌詞が仕上がったので早速ミクに歌わせてみましょう。
歌詞が決まったことで細かい符割が変わっていたりするので、その部分を適宜調整して歌詞をいれていきます。
ここでの目的はとにかく歌詞をほり込むことなので、多少おかしなところは無視していきます
というわけで、この歌詞を歌わせてみたものを聴いてみましょう。
いやー、この瞬間がボカロ曲制作のなかでもっとも高揚するところですね。
とはいえ、活舌が悪かったりそもそも不自然なところも多いので、もっと滑らかに歌ってもらえるよう本格的な調声作業にはいっていきます。
まとめ
今回は主に作詞の解説でした。
そのため、なかなかの文章量になってしましましたね。
歌詞はわりとテキトーに考えているように思っていたのですが、いざ説明してみると結構いろいろ考えていたことに自分でも驚いています。(作編曲より言葉で説明しやすいという点もあるのでしょうが…)
なんだかんだ一般的なリスナーの大半は曲の歌詞を聴いています。ボーカルの歌唱や楽器隊のの演奏、コード進行やアレンジなんかより、歌詞を意識して聴いているのです。そのため、歌詞の良し悪しは楽曲の良し悪しにも直結してくる部分なので、そう手は抜けないでしょう。
そう言いつつ妥協している部分もありますが、ベストは尽くしているつもりなので目を瞑ってくださいな(笑)
また、作詞で重要なのは必ず歌いながら書くことだと思います。可能なら歌い手になったくらいの勢いで歌うほうが良いです。そうすればおのずとメロディに対してハマりの良い言葉やそうでない言葉が判別できると思います。
余談ですが、しっかりボーカルができる人が書いた歌詞は音のハマりがとても良く、つい歌いたくなるような歌詞であることが多いです。「このメロディではこう歌いたいな」という感覚が自然と研ぎ澄まされているのでしょうね。(まぁ、私の経験則の話なので絶望的に作詞ができないボーカルさんも中にはいるかもしれませんが…)
次回は本格的なボカロ調声へと入っていきます。